金利上昇でも家賃を上げない管理会社の本音。老朽アパートを賃料30%UPと滞納ゼロにした現場の話
2026.10.11
賃貸経営

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「当たり前」のレベルが違うと感じてもらえる会社でありたい
金利が上がり、毎月のローン返済額が少しずつ増えている今、オーナーさんが気にしているのは、通帳に残る金額だと思います。
収入は動かず、支出だけが増えていく。
空室を埋めるのは最近は問題なく出来る。
簡単に「満室経営」を語ることが出来る。
しかしそれが
・現在の相場に見合う適正な賃料だったらどれくらい空室を埋められるのだろうか?
・賃貸中のお部屋の家賃を適正賃料に引き上げる努力をしているか?
・コストバランスを見据えた「得する」リフォーム提案を出来ているか?
「しっかり管理しています!」
とアピールする為に、「ただ当たり前にやっている」の「当たり前」のレベルを上げ続けたいと思っている管理会社がいるんです。
それが私たち「ルームキューブ」なんです。
管理会社から届くのが「家賃送金明細」「ただの原状回復の見積もり」だけなら、手残りは何も変わりません。
管理会社が家賃を上げたがらないのには、構造的な理由があります。
そしてその構造のなかで、オーナーさんが取りこぼしている収益は、想像よりずっと大きいかもしれません。
この記事では、まず管理会社の内側の事情をお話しします。
そのうえで、金利やコスト上昇局面でも活かせるかもしれない私たちがとある超老朽アパートで実際にやってきた賃料の引き上げから滞納の解消、そして最後の立ち退きまで、順を追ってお伝えします。
金利が上がって手残りが減っているのに、管理会社が家賃を上げたがらない本当の理由
「面倒だから」で据え置かれる賃料。管理会社の本音
多くの管理会社にとって、賃料を上げる提案は、やってもやらなくても自分の評価が大きく変わらない仕事です。
しかも、やれば手間が確実に増えます。
賃料を上げれば、入居付けが難しくなるかもしれません。
募集条件を見直し、仲介会社に説明し、反応を見ながら調整する作業が必要です。
既存の入居者への増額の交渉もしなければなりませんが、それが特に大変です。
誰も家賃を上げてほしいなんて思っている人はいません。
提案した賃料が適正相場だとしても、オーナーさんや管理会社との関係性を考慮しない入居者さんや、経済的な事情からどうしてもその条件を飲みたくない入居者さんは盛大に揉めてきます。
説明資料を作り、相手の反応に気を配り、場合によっては何度も足を運びます。
一方、管理報酬は賃料に対する数%で設定されていることが多く、賃料を少し上げても管理会社の取り分はわずかしか増えません。
手間は大きく、見返りは小さい。
この構造のなかで、「現状維持でいきましょう」という提案がいちばん楽で、いちばん無難なものになります。
据え置きにしておけば、誰からも怒られません。
ただし、その代償を払っているのはオーナーさんです。
金利が上がり、返済額が増え、それでも賃料は動かない。
本来得られたはずの収益を取りこぼし続けていることになります。
私たちは、これを管理会社個別の怠慢だとは考えていません。
一般的な「当たり前」は多分これくらいです。
仕組みとして、そうなりやすいのです。
だからこそ、オーナーさん自身が「この構造がある」と知っておくことに意味があります。
退去・空室は「ピンチ」ではなく、賃料を適正化する最大のチャンス
退去の連絡が入ると、多くのオーナーさんは「また空いてしまう」と肩を落とします。
また、更新のお客様に賃料大幅値上げを打診したら退去してしまうんじゃないかと不安になる。
気持ちはよく分かります。
ただ、賃料が上がりつつある今の局面では、見方を変えられます。
入居中の部屋は、賃料を変えるのが簡単ではありません。
ところが空室になれば、市場の相場に合わせて、ゼロから賃料を設定し直せます。定期借家契約で結び直すことも出来ます。
大規模な原状回復工事が必要になればその機会にバリューアップを目指せばいい。
何年も前の賃料のまま募集に出すのか、今の相場と部屋の価値に見合った賃料で出すのか。
この差が、そのまま毎月の手残りの差になります。
もちろん、賃料の動きはエリアや物件によって差があります。
すべての物件で上げられるわけではありません。
それでも、「空いたら前と同じ条件で募集する」を「当たり前」にしてしまうのは、もったいない話です。
空室リスクは、見方を変えれば「家賃アップのチャンス」です。
金利上昇で手残りが削られている今こそ、このチャンスを逃さない管理が必要になります。
こんな対応が続いているなら要注意
次のような状況が続いているなら、一度立ち止まって見直す価値があります。
あくまで一般的な傾向としてお読みください。
- 退去のたびに原状回復の見積もりが届くだけで、賃料を見直す提案がない
- 募集条件が、前の入居者と同じまま何年も変わっていない
- 滞納が出ても、督促の連絡だけで済まされている
どれも、手間のかからない管理の特徴です。
悪意があるわけではなく、そうなりやすいだけです。
ただ、手間を避ける管理の裏側で、オーナーさんの収益は静かに目減りしていきます。
【実例】「元に戻すだけ」の250万円は本当に必要か。超老朽アパートで私たちがやったこと
ここからご紹介するのは弊社の過去の事例のお話です。
滞納などのトラブルを解消し、物件の資産価値を上げ、満稼働をさせるという「当たり前」の事例ですが少しは参考になることもあるかと思います。
舞台は、かなり古くなったアパートです。
築年数を重ね、建物の傷みも進んだ、いわゆる超老朽物件でした。
このアパートを再び健全な収益物件に戻すため、私、榎本が管理を担うことになりました。
250万円の原状回復を、同額のデザインリノベに変えた。結果は賃料27~30%UP
最初の課題は空室となっているボロボロの30㎡の1DKのお部屋が2室
見積もりを取ると、ただ元の状態に戻すだけの原状回復工事で併せて500万円。
老朽化した部屋を、老朽化した状態のまま整えるだけの工事です。
そこに1室あたり250万円をかける意味はどこにあるのか。
私は、そこに引っかかりました。
元に戻すだけの250万円は、支出が出ていくだけで、収益はほとんど増えません。
同じ250万円なら、部屋の価値そのものを引き上げるほうに使いたい。
そう考えて、私は同額の250万円で給排水管やサッシ交換も含むフルスケルトンデザインリノベーションを施工する道を選びました。(当時でも破格!)
結果、この部屋は賃料をそれぞれ27%と30%アップさせて成約しました。


(予算を抑えた分、高級感こそありませんが訴求が強くすぐに決まったお部屋です。しかし当時のスマホ写真の画質が悪くてすみません。)
ちなみに元写真こんなのです。

(写真だけじゃわかりませんが床が抜けていたり、洗面台が無かったり、壁にも穴が開いてたり、正直ネズミも住み着いてました。)
同じ250万円でも、中身はまったく違います。
一方は、ゼロに戻すための支出。
もう一方は、賃料を押し上げ、その後の毎月の収益を変える投資です。
金利上昇でローンの負担が重くなる今、毎月の家賃収入が27%増えることの意味は小さくありません。
もちろん、すべての部屋でリノベをすればいい、という話ではありません。
物件やエリアの条件を見極めたうえでの判断です。
それでも、「原状回復」という言葉に思考を止めず、同じ予算でもっと収益を生む使い方がないかを探す。
この姿勢が、結果を分けました。
生活保護の滞納者宅へ直接訪問。「お説教」から始めた支払い健全化
収益を伸ばす一方で、取りこぼしを止めることも、このアパートの健全化には欠かせませんでした。
管理受託当初より、生活保護を受給している入居者の方に、数ヶ月の家賃の滞納が出ていました。
私は、督促の連絡だけで済ませず、その方の自宅まで直接足を運びました。
そして、座布団で膝を突き合わせてお説教をしました。
「家賃を払わなければ、いずれ住まいそのものを失います。
その方にとって、住まいは生活の土台です。
放っておけば、取り返しのつかないところまで進んでしまう。」
・・・なんてそこらの不動産屋が話すような当たり前のつまらないお説教じゃないです(笑)
生活保護を受給しつつ仕事をさぼりたがる気持ちへの甘え、生活保護の考え方、その方の今後の人生、そして責任ある大人としての心の持ち方。
きちんと相手に対しての敬意だけは忘れずに、男同士、真剣だからこそ伝えられることを伝えました。
その結果、滞納分は分割での支払いが始まり、支払いは健全化しました。
当初は「なんだこら!」的な態度だったその方から、
「榎本さんみたいにちゃんと話してくれる不動産屋で良かった」
という嬉しい言葉もいただくことが出来ました。
滞納の問題は、特定の属性の問題ではなく、一人ひとりの事情と向き合えるかどうかの問題だと、私たちは考えています。
振り込みができない高齢入居者と、月1回のお茶飲み。5.5万円を手渡しで回収し続けた理由
もう一つ、忘れられない入居者の方がいます。
高齢で、家賃の振り込みができない方でした。
銀行に行って振り込む。
私たちにとっては当たり前の作業が、その方にはできません。
家賃は集金して欲しいとお願いされました。
私は、それだけの為に定期的に訪問することはできないことを正直に伝えました。
すると、その方はこう言いました。
「いつ来てもいい」
しかも、家賃の準備は早めにしてくれていました。
そこから、毎月1回の訪問が私のルーティンになりました。
自宅を訪ねると、部屋に上がるように言われます。
茶菓子が出てきます。
忙しいんですよ、正直。
そのまま、1〜2時間、話を聞くことになります。
他の業務が停滞します。
そして家賃は5.5万円。
それを手渡しで受け取って、管理手数料2,000円。
効率だけを見れば、決して割のいい仕事ではありません。
家賃の回収のために、月に2~3時間を移動と滞在で浪費する。
自社の利益効率だけを優先している管理会社なら、まず選ばない方法でしょう。
ですが、この方の支払いは、これで完全に健全化しました。
振り込みができない人に「振り込んでください」と繰り返しても、滞納は解消されません。
その方の事情に合わせたやり方に変えて、初めて家賃が確実に入る形になります。
5.5万円を毎月確実に回収することは、オーナーさんの収益を守ることそのものです。
手残りが減っているときに、取れるはずの家賃を取りこぼしている余裕は、オーナーさんにはありません。
泥臭く見えるこのやり方は、実は最も確実な、ロス削減の手段でした。
賃料は上げる。ただし「適正化」と「強気設定」は別物
ここまで、賃料を上げることの大切さを繰り返しお伝えしてきました。
ただ、一つだけ、はっきりさせておきたいことがあります。
賃料を上げることと、強気に吹っかけることは、まったく別のことです。
地方エリアの強気な家賃設定が、トラブルを招くことがある理由
物件のエリアによっては、相場より強気な家賃を設定すると、思わぬ副作用が出ます。
相場より高い家賃でも借りる人が、どういう人かを考えてみてください。
選択肢が多い人は、相場どおりの物件を選びます。
高い家賃の部屋に集まりやすいのは、無理をしてでも借りざるを得ない状況にある人です。
家賃に対して無理のある契約は、滞納や近隣トラブルにつながりやすくなります。
目先の賃料は上がっても、トラブル対応に追われて、結局は収益を削ることになりかねません。
私たちが目指す賃料の引き上げは、あくまで部屋の価値に見合った「適正化」です。
リノベーションで部屋の価値を上げて賃料を引き上げた先ほどの例は、その典型です。
価値を上げずに賃料だけを上げるのとは、考え方がまるで違います。
入居審査は「差別」ではなく、オーナーを守る「ビジネス的選択」
賃料を上げる一方で、入口の審査をどう考えるか。
これも、収益を守るうえで欠かせない視点です。
入居審査は、差別ではありません。
家賃をきちんと払い続けられるか、生活の実態はどうか、これまでの履歴はどうか。
オーナーさんの大切な資産を守るために、必要な情報を確認する、ビジネス上の選択方法が入居審査です。
審査を甘くすれば、一時的に空室は埋まるかもしれません。
しかし、そのあとに滞納やトラブルが続けば、損をするのはオーナーさんと私たち管理会社です。
※入居審査については、また別のテーマで詳しく書きます。
【結末】地上げと立ち退き。身寄りのない高齢入居者を最後まで守り抜いた
こうして、賃料と滞納の両面から収益を立て直していった老朽アパートですが、最後に大きな出来事が起こります。
物件が、地上げに遭ったのです。
立ち退きが必要になれば、入居者全員が新しい住まいを探さなければなりません。
ここで問題になったのが、この物件にいた入居者の顔ぶれでした。
ほぼ身寄りのない、80〜90歳の高齢者が3人。
そして、生活保護を受給している方が1人。
その他の世帯は、通常どおり引っ越しができました。
難しかったのは、この4人です。
高齢で身寄りがなく、保証人を立てるのも難しい。
こうした方々が新しい部屋を探すのは、決して簡単なことではありません。
私は、この4人の転居先を、責任を持って物件探し、ご案内と、しっかり仲介しました。
(審査に落ちる、いいって言われてたのにやっぱり駄目って言われる、引っ越しに時間が欲しいお客さんと契約開始日を急かす管理会社で結果ダメになるなど、もうやりたくないですがw)
超大手ディベロッパー地上げ屋の態度は正直好きじゃなかったですが
それが、管理を預かった者の責任だと考えたからです。
入居者の事情を知っている管理会社の担当が、自分の手で次の住まいまで見つけて、確実に送り出す。
ここまでやり切って、はじめて管理を預かったと言えると、私たちは思っています。
超大手ディベロッパー地上げ屋は大喜び、4人も新居に大満足、そして、オーナーさんには多額の売却益が入りました。
『全方良し』な仕事ができたなと思っております。
入居者を守ることと、オーナーさんの利益を守ることは、対立しません。
収益を立て直し、入居者との関係を築き、最後に物件を高く手放す。
そのすべての局面で、現場で動く管理会社がいたからこそ、この結果になりました。
金利上昇に勝てる賃貸経営は、現場で動く管理会社選びで決まる
金利が上がって、手残りが減っていく。
この状況で、オーナーさんにできることは、実はそれほど多くありません。
借入金利は自分では決められませんし、市況も変えられません。
けれど、管理のやり方は変えられます。
賃料を適正に引き上げること。
滞納というロスを、一つひとつ潰していくこと。
この二つを、現場で泥臭く、粘り強くやり続ける管理会社が、手残りを守る味方になります。
システム化された管理は、確かに効率的です。
ただ、振り込みができない高齢の入居者のもとへ毎月通い、お茶を飲みながら5.5万円を受け取る。
滞納者の家に出向いて、正面から話をする。
250万円の使い道を、収益の視点から考え直す。
こうしたことは、システムにはできません。
「うちの管理会社は、ここまでやってくれているだろうか」
「『当たり前』の基準がルームキューブとは違うんじゃないか?」
もしそう感じたなら、一度、今の管理を見直してみてください。
ルームキューブでは、新築や初めての不動産投資、相続などによる管理のご相談や見直し、セカンドオピニオンとしてのご相談も受けています。
今の管理会社を変えなくても構いません。
賃料の設定、空室対策、滞納への対応が今のままでいいのか、現場を知る立場から率直にお答えします。
まずはオーナー様の物件の状況に合わせた何か具体的な取り組みが出来ないかという点を知っていただくだけでも、今後の大きな参考になるんじゃないかと思います。
私、榎本までお気軽にご相談ください。
弊社では、宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスターや、賃貸不動産経営管理士、行政書士、ファイナンシャルプランナーなどの有資格者が賃貸・売買問わず、お部屋探し・賃貸管理のお手伝いをさせていただきます。
| 【この記事を書いた人 ルームキューブ 代表取締役 榎本 敦史】 家賃滞納の督促が不動産業界の入り口。その家賃の回収から入居審査、立ち退き交渉など、様々な入居者の方の人生模様に触れ、不動産管理会社のあるべき姿を模索し、ルームキューブを起業する。不動産投資のおまけのように扱われる不動産管理会社の仕事の大切さを知ってもらうために、収支改善、資産価値向上、コスト管理に空室対策といった分野で独自のアイデアを活かした賃貸管理サービスを提供している。 【保有資格】 宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター・賃貸不動産経営管理士・賃貸住宅メンテナンス主任者など |
◆◆◆ルームキューブ賃貸管理センターでは、賃貸物件を所有のオーナー様からの賃貸管理・不動産投資、また、不動産売却、不動産購入、住宅ローンに関するご相談などをお待ちしております。
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