管理会社に「お断り」されるマンションの共通点|資産価値を守る「所有マインド」への転換術
2026.07.28
賃貸管理

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今、現場で静かに進む「管理会社による委託拒否」の衝撃
理事会の役員をされている方なら、こんな経験はありませんか。
契約更新の時期になって、いつもの担当者から歯切れの悪い連絡が来る。
「来期からのご契約について、少しご相談が」
という切り出し方で、蓋を開けてみれば大幅な値上げ、あるいは
「弊社では対応が難しくなりました」
という事実上の契約打ち切り通告。
これは決して珍しいケースではありません。
私自身、複数の管理会社や、その役員クラスと直接やり取りをする中で、この動きが業界全体で加速していることを肌で感じています。
数年前まで、管理会社との関係は「お金を払っているこちら側が強い」という構図が当たり前でした。
多少のクレームを言っても、多少の無理を通しても、管理会社は「お客様」である管理組合の要望に応え続けてくれる存在だったのです。
ところがここ数年、その構図が根本から崩れています。
管理会社側が「この物件は割に合わない」と判断すれば、契約を切る。
もしくは、切らないまでも値上げという形で実質的な選別を行う。
人件費の高騰、資材価格の上昇、そして何より深刻な人手不足が、管理会社に「案件を選ぶ」という選択肢を与えてしまったのです。
かつては考えられなかった「管理会社側からの契約拒否」が、今では現場の日常的な意思決定のひとつになっています。
これは特定の管理会社だけの話ではありません。
私が接する複数の管理会社や、その役員たちが、口を揃えて同じことを言います。
「利益が薄い物件、手間がかかる物件から順番に、契約更新のタイミングで整理している」
と。
冷たい言い方に聞こえるかもしれませんが、これは管理会社側からすれば当然の経営判断です。
そしてこの流れに巻き込まれやすいマンションには、明確な共通点があります。
なぜ小規模・築古マンションが「狙い撃ち」にされるのか?
答えはシンプルです。
管理会社にとって「手間がかかる割に儲からない」からです。
まず戸数の問題があります。
管理費・修繕積立金の徴収から総会運営のサポート、日常清掃の手配まで、管理会社が行う業務量は戸数の多寡にかかわらず一定の固定コストが発生します。
50戸を超える大規模マンションであれば、この固定コストを多くの住戸で割り勘できるため、1戸あたりの収益性は保たれます。
しかし戸数が少ない小規模マンションでは、同じ業務量をこなしても得られる管理受託料が少なく、採算が合いにくいのです。
次に築年数の問題です。
築20年、30年と経過したマンションでは、大規模修繕工事の計画立案や、給排水管の劣化に伴う漏水トラブル、外壁のひび割れ対応など、突発的かつ専門的な対応が急増します。
これらは管理会社のフロント担当者にとって、通常業務の何倍もの手間がかかる仕事です。
そして今、現場で最も深刻なのが人手不足です。
マンション管理業界はフロント担当者の離職率が高く、若手の採用も難航しています。
ひとりの担当者が抱える物件数は年々増加しており、手が回らなくなった担当者から順に、対応が困難な物件を「切りたい」と考えるようになる。
これが偽らざる現場の実感です。
さらに、ここ数年で加わった新しい要素があります。
住人の多国籍化や高齢化です。
外国籍の入居者とのコミュニケーションの難しさ、高齢の区分所有者が増えることによる総会運営や意思決定の停滞。
これらが重なることで、管理会社にとって「できれば関わりたくない物件」という判断が下されやすくなっているのです。
人手不足、修繕対応の困難さ、住人構成の変化という三重苦が、まさに今、契約撤退の引き金になっています。
「管理組合=神様」という勘違いが招く致命的なリスク
ここでもうひとつ、見落とされがちな要因についてお話しします。
それは管理組合側の「対応の仕方」そのものです。
多くの理事会が無意識のうちに陥っている罠があります。
それは
「管理費を払っているのだから、こちらが客であり、管理会社は言われた通りに動くべきだ」
という意識です。
この感覚自体は決して間違いではありません。
契約上、管理組合が発注者であることは事実です。
しかし、この意識が行き過ぎると、非常に危険な状態を招きます。
現場の管理会社担当者たちと話していると、こんな声をよく耳にします。
「あの理事会は毎回、些細なことで高圧的なクレームを入れてくる」
「無理な要望ばかりで、こちらの説明にまったく耳を貸してくれない」
こうした評判は、担当者個人の記憶にとどまらず、社内の情報共有を通じて「この物件は要注意」というレッテルとして蓄積されていきます。
そして契約更新や人員配置の見直しのタイミングで、この「要注意リスト」が静かに参照されるのです。
強気に振る舞えば振る舞うほど、管理会社側からは「できれば手放したい物件」として見られてしまう。
まさに、お客様気分で強気に出ることが、自らの管理体制を追い込む結果につながっているのです。
これは決して大げさな話ではなく、今まさに全国の現場で起きている構造です。
管理会社に見捨てられ「自主管理」になったマンションの末路
では実際に、管理会社から契約を切られてしまったマンションはどうなるのか。
多くの場合、次の管理会社探しから始まります。
しかし、先ほど述べた通り、小規模・築古物件を積極的に受託したい管理会社はもともと限られています。
何社にあたっても断られ続け、最終的に選択肢がなくなり、やむを得ず「自主管理」に移行するケースが後を絶ちません。
自主管理そのものが悪いわけではありません。
しかし、管理会社に頼らずすべてを区分所有者だけで運営していくには、相応の体力と専門知識、そして継続的な担い手が必要です。
ところが現実には、高齢化が進んだマンションほど理事のなり手が見つからず、輪番制も機能しなくなっていきます。
多国籍化した住人とのトラブル対応も、専門知識を持たない住民だけでは限界があります。
修繕計画は先送りにされ、いつの間にか長期修繕計画そのものが形骸化してしまう。
この状態が続くとどうなるか。
答えは明確です。
資産価値の暴落です。
「自主管理のマンション」
「管理会社に断られたマンション」
という情報は、不動産仲介や金融機関にも伝わります。
住宅ローンの審査で不利になったり、そもそも買い手がつかなくなったりする。
売りたくても売れない、いわゆる「負動産」化が現実のものとなるのです。
これは将来の話ではなく、すでに全国で進行している現在進行形のリスクです。
分譲マンションを購入する本当の意義:「消費」から「所有」への思考転換
ここで一度、立ち止まって考えていただきたいことがあります。
分譲マンションを購入するということは、賃貸物件を借りるのとは根本的に意味が違うということです。
賃貸であれば、家賃を払っている以上、サービスを受けて当然という「消費マインド」で構いません。
何か不満があれば、契約を更新せずに別の物件へ移ればいいだけの話です。
しかし分譲マンションは違います。
あなたは大家ではなく、資産そのものの共同所有者です。
管理費は「サービス利用料」ではなく、自分たちの資産価値を維持・向上させるための「投資」なのです。
この違いを理解せず、賃貸感覚のまま
「管理費を払っているのだからやってもらって当然」
という消費マインドで管理組合を運営してしまうと、先に述べたような負のスパイラルに巻き込まれるリスクが一気に高まります。
本当に資産価値を守りたいのであれば、意識を変える必要があります。
「自分たちの資産は、自分たちで守り、育てていくものだ」という所有マインドへの転換です。
これは精神論ではなく、これからのマンション経営における実務的な生存戦略そのものです。
元理事経験者が教える「管理会社を最強の味方にする付き合い方」
私自身、以前ある分譲マンションの理事を務めていました。
当時、理事会の中で私がよく話題に上げていたのが、まさに
「どうすれば管理会社にとって『大事にしたい物件』になれるか」
ということでした。
まず大前提として、管理会社は「下請け業者」ではなく「資産価値を一緒に守るパートナー」だという姿勢を、理事会全体で共有することが出発点になります。
この意識があるかないかで、日々のコミュニケーションの質がまったく変わってきます。
住人の方全員に招集をかけて、「区分マンションを所有するとは?」というテーマでセミナーを開催したこともあります。
7割以上の方の参加があり、途中はいろんな意見や質問が飛び交い、結果的には皆さんから「とてもいいお話だった。」と感謝されたのを覚えています。
住人同士の気持ちのいい挨拶、チラシの散乱防止、エレベーターの譲り合い、駐輪マナー、ゴミ出しマナーの徹底などなど、
色んな方面で住環境の維持を意識される方が増えたのを覚えています。
こうしたことはその不動産の資産価値の維持向上に非常に寄与します。
更に理事会運営においては具体的に効果があったと感じているのは、次のような取り組みです。
- ①担当者への対等なリスペクト
クレームを入れる際も、感情的にまくし立てるのではなく、事実関係を整理した上で「困っている状況を一緒に解決してほしい」という姿勢で伝える。
これだけで担当者の対応の熱量が大きく変わります。 - ②理事会側の意思決定を明確かつ迅速にする
管理会社が最も苦労するのは、理事会内で意見がまとまらず、確認や修正のやり取りが何度も往復するケースです。
事前に理事間で方向性をすり合わせ、管理会社への依頼や質問をできるだけ一本化して伝える。
これだけで担当者の負担は大きく減り、「この物件は仕事がしやすい」という印象につながります。 - ③レスポンスの速さ
管理会社からの確認事項や見積もり依頼に対して、理事会側が数週間も放置してしまうケースは非常に多く見られます。
逆に言えば、迅速に返信をくれる理事会は、それだけで管理会社側の優先順位が上がります。
手間のかかる物件が敬遠される時代だからこそ、逆に「対応しやすい理事会」であることが、最も手厚いサポートを引き出すための最大の武器になるのです。
こうした積み重ねが、管理会社にとって
「この物件は多少手間がかかっても大事にしたい」
と思わせる関係性を作り出します。
管理拒否のリスクを避ける最善の方法は、実は管理会社選びだけではなく、日々の付き合い方そのものにあるのです。
まとめ:自社の管理体制見直し・まず状況をお聞かせいただけませんか?
今の管理会社との関係に、少しでも違和感や不安を感じている方。
将来的な自主管理化のリスクを避けたいと考えている方。
あるいは、すでに管理会社から契約更新に関して歯切れの悪い反応を受けている方。
こうした兆候は、決して無視してよいものではありません。
管理体制の見直しは、問題が表面化してから動くのでは遅すぎます。
契約拒否の通告を受けてから次の管理会社を探し始めても、選べる選択肢はすでに限られています。
今、余力があるうちに、自分たちのマンションの管理体制を客観的な視点で見直しておくことが、資産価値を守る最も確実な方法です。
皆様のマンションが抱える管理体制の課題や不安について、心配な点があればお気軽にご相談ください。
取り返しのつかない状況になる前に、まずは現在の状況をお聞かせいただけませんか?
具体的な現状分析から今後の解決策まで、管理会社を味方につけて資産価値を守るためのお手伝い、条件が合うようであれば管理会社のご紹介をさせていただきます。
今回は「建物管理」についての記事ではありますが、賃貸管理においても同じようなことが言えるのではないでしょうか?
より良いサービス、迅速な対応、コストカットの徹底など、物件オーナー様の利益の最大化に向けて努力している管理会社は一定数おります。
そこに対して「管理費の減額」「過剰な管理対応」を求めてしまっていると、良質な管理会社さんは離れ、
『私たちはDX化、AI導入によってコストを抑えた効率的な管理を行います!』
と、オーナーさんが見えないことをいいことに、現場の「げ」の字も知らないような担当者さんに管理を頼まざるを得なくなってしまうことも・・・。
「ビジネス」と「おもてなし」「サービス」のバランスがとても重要ですね。
弊社では、宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスターや、賃貸不動産経営管理士、行政書士、ファイナンシャルプランナーなどの有資格者が賃貸・売買問わず、お部屋探し・賃貸管理のお手伝いをさせていただきます。
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| 【この記事を書いた人 ルームキューブ 代表取締役 榎本 敦史】 家賃滞納の督促が不動産業界の入り口。その家賃の回収から入居審査、立ち退き交渉など、様々な入居者の方の人生模様に触れ、不動産管理会社のあるべき姿を模索し、ルームキューブを起業する。不動産投資のおまけのように扱われる不動産管理会社の仕事の大切さを知ってもらうために、収支改善、資産価値向上、コスト管理に空室対策といった分野で独自のアイデアを活かした賃貸管理サービスを提供している。 【保有資格】 宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター・賃貸不動産経営管理士・賃貸住宅メンテナンス主任者など |

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