【プロが解説】後悔しないリースバックの選び方|国交省の注意喚起と物件価値から導く損益分岐点
2026.11.07
不動産売却

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リースバックとは、自宅を売却して現金化し、その後は家賃を払って住み続ける仕組みです。
「引越し不要・周囲に秘密」というメリットがある一方、最大のデメリットは「相場より2〜3割安い売却価格」と「割高な家賃設定」にあります。
国土交通省もガイドブックなどで注意を呼びかけており、安易な契約は老後資金を圧迫するおそれがあります。
リースバックが正解になるかは「物件の資産価値」と「今後の居住年数(ライフプラン)」次第です。
「業者の査定額を見る前に、まずは『通常の市場価格』を知っておくことが、安値売却を防ぐいちばんの備えです。」
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1. リースバックは「住み続けられる」代わりに、売却価格の割引を受け入れる取引です
☆☆☆単純に言うと「不動産業者による物件仕入れ」の新たな手法です。
住み続けながら自宅を現金化できる仕組みとは?
自宅の売買契約と、同じ家の賃貸借契約を同時に結びます。
契約が済むと所有権は業者に移り、あなたは「所有者」から「借家人」になります。
国土交通省はリースバックを、住宅を売却して現金を得て、売却後は毎月賃料を支払って住み続けるサービスと定義しています。
法的な立場が変わるのが、この取引の核心です。
持ち家なら家賃は要りませんが、借家人になれば、住む限り家賃を払い続けます。
なぜ「引越し不要・周囲に秘密」が刺さるのか?
70代で新しい住まいを探す大変さも、近所に売却を知られたくない気持ちも、ごく自然なものです。
長年暮らした家を離れたくない方に、「そのまま住めます」という提案が響くのは当然だと思います。
ただ、その安心感には対価があります。
それでは、その対価が誰の利益になっているかを整理します。
2. 業者がリースバックを勧める理由は、安く買って長く家賃を取れる構造にあります
☆☆☆安く買い、家賃で収益を上げ、最終的に高値売却をする利益アゲアゲ作戦です。
業者はどこで利益を出しているのか?
当社が過去に診断した他社のリースバック提案書では、買取価格は相場の6〜8割程度、年間家賃は売却額の6〜10%程度という設定が平均的でした。
これは当社の事例に基づく数字で、すべての業者に当てはまるわけではありません。
この条件なら、業者は安く仕入れた物件から、毎月確実に家賃収入を得られます。
物件をすぐ転売しなくても収益が出るため、業者にとって有利な投資モデルになっています。
ここまでは事実です。
親切な担当者なら任せて大丈夫か?
営業担当の方が誠実でも、会社としての目的は「安く買って、貸して回収する」ことです。
個人の人柄と、契約書の中身は別の話になります。
ここから先は当社の見解ですが、担当者が良い人かどうかではなく、契約書と価格の根拠で判断するのが安全です。
では、実際にどんなトラブルが起きているのでしょうか。
3. 国土交通省が注意を促すトラブルは、価格・契約期間・家賃の3点に集中します
国土交通省は令和4年6月24日に『住宅のリースバックに関するガイドブック』を公表しました。
契約内容や将来の収支計画への理解が不十分なまま契約したことによるトラブルが見られる、と整理されています。
また、令和8年7月には、宅地建物取引業法の解釈・運用を示す「リースバックに関するガイドライン」が策定され、令和8年10月1日に施行されています。
背景として、リースバック取引に関する苦情・紛争や相談件数が増加傾向にあることが挙げられています。
以下は、当社が相談現場で特に確認する3点です。
① 相場より安く買われていないか?
通常売却の相場を知らないまま、業者の言い値で契約するのが最も多い失敗です。
当社が確認した荒川区の事例(後述)では、価格差は1,100万円でした。
比べる相手を知らなければ、高いのか安いのか判断できません。
② 「一生住める」は本当か?
契約形態は「普通借家」と「定期借家」で大きく違います。
- 普通借家:貸主側から更新を拒むには正当な事由が必要で、借主は比較的守られています。
- 定期借家:期間が満了すれば契約は終了します。再契約するかどうかは貸主との合意次第で、拒まれれば退去することになります。
口頭の「ずっと住めますよ」は、契約書に書かれていなければ効力を持ちません。
とにもかくにも契約書面の確認が欠かせません。
③ 家賃で老後資金は減らないか?
売却代金は一度に入りますが、家賃は住む間ずっと出ていきます。
年金収入に対して家賃が重いと、売却代金は想像より早く減っていきます。
修繕の負担も見落としがちです。
ガイドブックでも、設備が壊れたときに誰が直すのかを事前に確認するよう求めています。
「すでに他社からリースバックの提案を受けていませんか?その条件が妥当かどうか、客観的な市場相場から無料で診断します。」
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4. 損益分岐点は、住み続ける年数と物件価値で決まります
3つの売り方を比べるとどう違う?
◆通常売却(仲介)
売却価格の目安:相場水準を目指す(期間・売れ行きに左右)
毎月の住居費:住み替え先の費用による(自身で物件や条件を選択可能)
引っ越し:あり
◆リースバック
売却価格の目安:相場の6〜8割
毎月の住居費:家賃(売却額の年6〜10%が目安)
引っ越し:なし
◆不動産買取
売却価格の目安:仲介より下がるのが一般的
毎月の住居費:住み替え先の費用による(自身で物件や条件を選択可能)
引っ越し:あり
実際にどれくらい差が出るのか?
荒川区の中古マンション(築25年・3LDK)の事例です。
個人が特定されないよう条件は加工しています。
- 他社リースバックの提示額は2,200万円、家賃は月14.6万円でした。
- 当社の通常売却査定額は3,300万円で、差は1,100万円でした。
- 10年住むと家賃総額は約1,750万円になります。売却代金2,200万円から引くと、手元に残るのは約450万円です。
ご本人はリースバックを見送り、通常仲介で3,400万円で成約しました。
この結果は当社の1事例で、同じ価格を保証するものではありません。
それでも、比べなければ見えなかった差であることは確かです。
何年なら、リースバックも選択肢になるのか?
以下は当社の考え方で、法的な基準ではありません。
- 価格差は、住む年数にかかわらず最初から固定でかかります。
- 家賃は、年数に比例して積み上がります。
3〜5年程度の短期なら、価格差だけを「住み慣れた家に残る対価」と割り切る判断もあり得ます。
しかし、10年以上の長期になると、価格差と家賃が重なり、通常売却して適正な家賃の住まいへ移る方が手元資金が残りやすい、というのが当社の実感です。
売らずに住み続ける道も、同じ土俵で検討する価値があります。
ご家族の支援や、自宅を担保にした借入など、売却以外で資金を確保する方法もあります(条件は金融機関でご確認ください)。
数字を並べて初めて、どれが合うかが見えてきます。
5. 迷うなら、全部の選択肢を同じ土俵で並べてから決めてください
☆☆☆急いで決断する前にまずは信頼出来る不動産業者にご相談ください。
リースバック一択の提案は危ないのか?
一つの手法しか出さない提案は、他の選択肢を比べる機会を奪います。
リースバック自体が悪いわけではなく、「他と比べた結果として選ぶ」ことが大切です。
高齢だと賃貸は借りられない?
「高齢だと賃貸は借りられない」と言われ、リースバックに傾いてしまう方は少なくありません。
北区の戸建にお住まいだった70代のご夫婦も、業者からそう言われていました。
通常売却で4,500万円の現金を確保し、資金に余裕があることを示せたことで、賃貸物件への入居審査もスムーズに進み、転居が完了しました。
年齢だけで賃貸を諦める必要はなく、手元資金をしっかり残すほど、選べる住まいの可能性は広がります。
まだ売ると決めていなくても相談していいのか?
決める前だからこそ、比較が役に立ちます。
当社では、通常売却の査定額と、リースバックを選んだ場合の条件を並べて、お客様のライフプランに合う出口を一緒に考えます。
結果として「今は売らない」という答えになっても、構いません。
6. よくある質問(FAQ)
Q1:通常の売却でも、近所に知られずに売れますか?
可能です。
広告活動を控えた売却や、より高く買ってくれる買取業者への内々の打診で進める方法があります。
古くなってしまった物件でももちろん問題ありません。
Q2:リースバック後の固定資産税や修繕費は?
固定資産税は所有者となった買主の負担になります。
修繕費の扱いは契約ごとに異なるため、契約書で必ず確認してください。
Q3:他社のリースバック提案が妥当か、見てもらえますか?
はい、セカンドオピニオンとして対応しています。
市場価格と照らして条件を診断します。
以上、色々と書いてきましたが、分かりやすく単純にご説明します。
不動産業者は「安く買い」「高く売る」のが目的です。
こういった経済の仕組みはどの業界にも通じるものであるので否定はしません。
「住み慣れた家に住み続けられる」
「売ったことが周囲にバレない」
「生活資金が手に入る」
といったメリットもあるのも確かです。
ただ、リースバックの構造を見ていると、私はこう思います。
①「買取」で仕入れたい物件を「住み続けられますよ」という甘い言葉で仕入れておいて、
②固定資産税や修繕費用が上昇すれば家賃を上げていきリスク回避をし、
③賃借人(元所有者)の資金が尽きるか、解約する事情(施設への入所や、死亡されるなど)があるまでは在庫として抱え、
④売れるタイミングが来たら高値で売り、
⑤「入居期間中の家賃収入」+「売却価格」が、当初の「リースバック買取額」を上回るので大きな利益確定!
という非常にシンプルな構図です。
リースバックが正解か、通常売却が正解かは、お客様のライフプランによって180度変わります。
ただ、個人的にはリースバックはお勧めできません。
それでもどうしても引っ越したくない、資金が手元に欲しいという方もいらっしゃいます。
ルームキューブでは、すべての選択肢の手残り資金を比較提示いたします。
また、リースバックの契約書の内容の精査も行うことも可能です。
まずはお気軽にご相談いただけたらと思います。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の法務・税務の助言ではありません。既にトラブルになっている契約や税務の詳細は、専門家へご確認ください。
※参考出典:『住宅のリースバックに関するガイドブック』
弊社では、宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスターや、賃貸不動産経営管理士、行政書士、ファイナンシャルプランナーなどの有資格者が賃貸・売買問わず、お部屋探し・賃貸管理のお手伝いをさせていただきます。
| 【この記事を書いた人 ルームキューブ 代表取締役 榎本 敦史】 目利きを聞かせた不動産の購入、そして市場を捉えたより高値での不動産売却の実現を得意とする。売主の想いを繋ぎ、買主の想いを叶えることをモットーに、よりよい不動産売買仲介を心掛けている。また、賃貸経営やリノベーションを軸とした「売らせない」ための資産活用のご提案も得意としている。 【保有資格】 宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター・賃貸不動産経営管理士・賃貸住宅メンテナンス主任者など |
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