【前編】特定技能から高度人材まで。最新データで暴く「一都三県の外国人賃貸」の実態
2026.07.02
賃貸管理

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感情論は危険。「いい人もいる」で外国人に貸してはいけない理由
「外国人の方でも、いい人なら全然ウェルカムなんですけどね」
不動産の現場に立っていると、オーナー様からこの言葉を本当によく聞きます。
お気持ちは痛いほどわかります。
空室が3ヶ月、半年と続けば、「贅沢は言っていられない」という焦りが出てくるのは当然のことです。
目の前に礼儀正しく、日本語も達者な入居希望者が現れれば、
「この人なら大丈夫だろう」
と感じてしまうのも自然な反応です。
ただ、ここで一度、厳しいことをお伝えしなければなりません。
不動産経営は「人柄」で成り立つビジネスではなく、「仕組み」で成り立つビジネスです。
窓口で会って好印象を持った、その1人の人柄は、賃貸経営のリスク管理においてはほとんど意味を持ちません。
なぜなら、契約後に
・勤務先が経営不振に陥るかもしれない
・転職するかもしれない
・本国から急に帰国の連絡が入るかもしれない
こうした属性由来のリスクは、初対面の印象だけでは絶対に見抜けないからです。
私自身、現場でたくさんのケースに立ち会ってきました。
面談時はとても物腰の柔らかかった方が、半年後に音信不通になり、部屋には家財道具一式がそのまま残されていたこともあります。
いつの間にか猫を20匹以上繁殖し、部屋でブリーダーをやっていた方もいます。その方も夜逃げしました。
逆に、最初はやや無愛想に見えた方が、3年間一度も滞納なく、退去時には部屋をきれいに整えて去っていったケースもあります。
人柄の印象と実際のリスクは、驚くほど一致しません。
だからこそ、まず持つべきなのは感情ではなくデータです。
今、日本にいる特定技能の外国人が、全体としてどのような年齢層で、どの国籍が多く、どれくらいの収入で生活しているのか。
この客観的な事実を土台にしなければ、あなたの物件に本当に合う入居者像は見えてきません。
感情による受け入れ判断は、結局のところ賭けでしかないのです。
【2026年最新データ】特定技能の「平均年収」と「国籍」の全体像
まず押さえていただきたいのが、特定技能という在留資格を持つ方々の全体像です。
ここを知らずに個別の入居希望者と向き合うと、判断基準そのものがブレてしまいます。
特定技能外国人の基本データ(2026年最新)
| 在留規模 | およそ39万人規模 |
|---|---|
| 主な国籍構成 |
|
| 平均月給 | 22万1,400円(前年比+4.8%) ※年収換算:約260万円〜300万円台 |
国籍構成について
特定技能という制度全体で見れば、東南アジア出身の若年層が中心的な担い手になっているというのは事実です。
こうした方々の多くは20代前半から30代前半の若い世代で、
日本での就労を通じて母国の家族への送金や、将来のための資金づくりを目的にしているケースが目立ちます。
生活スタイルとしても、家賃を抑えながら計画的に貯蓄していく、堅実な傾向が強く見られます。
平均給与について
厚生労働省が2026年に公表した最新の賃金構造基本統計調査によれば、特定技能外国人の平均月給は22万1,400円です。
人手不足を背景に処遇改善が進んでいることが数字にも表れています。
この数字が意味することはシンプルです。
全体で見た場合、特定技能外国人が現実的に選べる家賃帯は、家賃3万円台から6万円台のアパートやワンルームが中心になります。
手取りから生活費と送金分を差し引いて家賃に充てられる金額を考えれば、これは自然な水準であり、
むしろ日本人の単身世帯の家計バランスと比べても堅実な部類に入ります。
ここまでが、公的データが示す「全体としての特定技能外国人」の姿です。
多くの解説記事は、ここで話を終えています。
しかし一都三県、特に東京都心部で不動産を所有されているオーナー様にとって、
実はこの全体データだけでは見えてこない、もう一つの現実があります。
一都三県で二極化するリアル。データには出ない「専門性の高い外国人」
先ほどお伝えした「平均月給22万1,400円」は、あくまで全国平均の数字です。
地方の農業や製造業、介護分野で働く方も多数含まれており、この平均像だけを見て
「外国人=低〜中家賃帯の入居者」
と決めつけてしまうのは、一都三県、とりわけ都心部の物件を所有されているオーナー様にとって大きな見落としになります。
大切なのは、この二極化を生んでいるのは「国籍」ではなく「職種と専門性」だという点です。
特定技能という制度は、外食業や宿泊業、建設、自動車整備、航空、造船など16の分野に及びます。
この中には、高級ホテル・レストランの熟練スタッフや、航空・造船分野の技術職として、高い専門性と語学力を武器に来日している層が確実に存在します。
さらに視野を広げれば、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」などの専門的な就労ビザを持ち、
専門商社の実務担当者や金融関連の職種で活躍する層も多数います。
出身国を問わず、こうした職種に就く方は母国での所得水準自体が高いケースも多く、
日本での給与に加えて資産的な余裕を持っていることも珍しくありません。
先日、私が店舗で実際に対応したお客様の話です。
お付き合いのあるオーナー様からのご紹介で来店された彼はまだ20代前半。
香港出身で専門的な就労ビザ(技人国)をお持ちの方でした。
ご希望条件を伺うとご希望家賃は月額20万円。
予算に余裕がある様子で、駅からの距離や設備のグレード、部屋の雰囲気やセキュリティレベルを重視されていました。
これは香港出身だから特別、という話ではありません。
実際には台湾、シンガポール、あるいは欧米圏の出身者でも、
専門商社や金融関連の職種に就いている高度な外国人材であれば、同じような予算感で物件を探すケースは十分にあり得ます。
逆に、東南アジア出身であっても、特定技能の経験年数の長い技術者として高い評価を受け、平均を大きく上回る待遇で働いている方もいます。
国籍で層を決めつけるのではなく、「どんな職種に就き、どんな契約形態で雇用されているか」を見る視点が欠かせません。
これが、一都三県、特に都心エリアで見られる「二極化」の正体です。
地方や郊外では、平均月給22万円台のボリュームゾーン層という構図がそのまま当てはまります。
しかし東京都心部においては、この平均データから完全にはみ出した、専門性の高い高所得層が確実にマーケットの一角を占めているのです。
この事実を知らずに、
「外国人だから低所得だろう」
「外国人だから審査を厳しくすればいい」
と一律の対応をしてしまう管理会社は、都心オーナー様にとって大きな機会損失を生んでいます。
逆に言えば、この二極化の構造を正確に理解し、国籍ではなく職種・年収・契約形態でリスクと機会を見極められる管理会社と組むことこそが、一都三県で賃貸経営を行う上での生命線になります。
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次回の後編では、この二極化を踏まえて、実際に皆様が所有されている物件の家賃帯ごとに、想定すべきリスクと、私たちが現場で実践している具体的な防衛策をお伝えします。
郊外の家賃3〜6万円台物件で最も警戒すべき「夜逃げ」と「マナー違反」への対策、そして都心の高額物件特有の「コミュニティ摩擦」への対処法まで、法人契約や保証会社の活用法を含めて詳しく解説します。
弊社では、宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスターや、賃貸不動産経営管理士、行政書士、ファイナンシャルプランナーなどの有資格者が賃貸・売買問わず、お部屋探し・賃貸管理のお手伝いをさせていただきます。
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| 【この記事を書いた人 ルームキューブ 代表取締役 榎本 敦史】 家賃滞納の督促が不動産業界の入り口。その家賃の回収から入居審査、立ち退き交渉など、様々な入居者の方の人生模様に触れ、不動産管理会社のあるべき姿を模索し、ルームキューブを起業する。不動産投資のおまけのように扱われる不動産管理会社の仕事の大切さを知ってもらうために、収支改善、資産価値向上、コスト管理に空室対策といった分野で独自のアイデアを活かした賃貸管理サービスを提供している。 【保有資格】 宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター・賃貸不動産経営管理士・賃貸住宅メンテナンス主任者など |

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