定期借家契約はデメリットだらけ?オススメ出来ない理由3選
2023.10.02
賃貸経営
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以前より賃貸仲介の現場ではあまり好まれない「定期借家契約」ですが、数年前からその「定期借家契約」を勧める声がちらほら聞こえてきます。
現行の借地借家法による過剰な賃借人保護に対抗しうる賃貸借契約としては、貸主にとってとても大きなメリットがある「定期借家契約」。
しかし、「定期借家契約」の物件は、いまだに賃貸仲介の現場ではあまり好まれてはいません。
今回は定期借家契約のメリットを知った上で、デメリットとして作用してしまう理由、それでも尚「定期借家契約」が有効な物件とはどんな物件なのかを書いてみようと思います。
【目次】
- 1.定期借家契約にはどんなメリットがあるの?
- 2.それでも定期借家契約が敬遠される理由
- 理由1.再契約の可能性が否定されている
- 理由2.賃貸条件が急変することがある
- 理由3.賃借人のデメリットを知った「ずるい大家」のイメージ
- 3.どうすれば定期借家契約が受け入れられるのか?
- 4.不動産賃貸管理会社の一句
1.定期借家契約にはどんなメリットがあるの?
最近、一部で推奨され始めている定期借家契約ですが、貸主と賃借人にとってはどんなメリットがあるのでしょうか?
【貸主にとっての定期借家契約のメリット】
①好ましくない賃借人との契約を期間満了と同時に終了できる。
②賃貸条件の変更や、実需用物件としての売却など、資産の流動性を持たせることが出来る。
③転勤などに伴う住宅ローン付きの物件の賃貸にも対応できる。
【賃借人にとっての定期借家契約のメリット】
①貸主が好ましくない入居者を追い出してくれるので住環境が良好に保たれる。(一棟物件の場合)
②貸主からの契約期間中の中途解約が出来ない。
これらがメリットです。
マナーの悪い賃借人を契約期間満了のタイミングで追い出すことが出来るため、貸主にとっても賃借人にとってもいい。
また一般的な賃貸借契約と異なり、賃借人の居住権を強く認めない為、資産活用がスムーズになるというメリットがあります。
2.それでも定期借家契約が敬遠される理由
上記してきたように、貸主にも賃借人にもメリットがあるのに、定期借家契約は敬遠されてしまいます。
また、一般の賃貸借契約の物件と比較すると賃料が安くなってしまったり、礼金等の取得も少なくなる傾向があります。
この時点でも個人的には定期借家契約はお勧めできないのですが、どうして敬遠されるのか、その理由をしっかりと理解しておくことが重要です。
理由1.再契約の可能性が否定されている
・一般の賃貸借契約の場合:当初の契約期間満了後も契約の更新が可能であることがあらかじめ規定されている。
→相当の理由や正当事由(及び司法手続き)がない限り、貸主は更新を拒絶することは難しい。
・定期借家契約の場合:契約期間満了と同時に賃貸借契約が終了する。貸主と賃借人で合意すれば再契約が可能。
→正当事由なくとも賃貸借契約を終了させることが出来る。(契約期間満了の1年前~6ヶ月前までに通知が必要。)
これが一番の理由です。
例えば2年間の定期借家契約を締結した場合、契約当時に2年後の状況が分かりきっていればいいのですが、そうじゃない場合は予め「2年しか住めないかもしれない」ことを織り込んでから住まなくてはいけません。
「短期の転勤だから。」
「結婚して2年後には不動産を購入したり実家に帰るから。」
こんな理由がない限り、急に出て行けと言われても困る方がほとんどです。
物件探し、引っ越しは非常に多くの労力を必要とします。
お子様のいる家庭の場合は学区の問題もあります。
それだけじゃなく役所や勤務先、ライフラインやカード会社への届け出など面倒な手続きもあります。
そもそも契約を貸主の都合で終了させることのできる定期借家契約は、賃借人にとっては決定的な不都合があるので敬遠されます。
理由2.賃貸条件が急変することがある
定期借家契約の場合、従前の契約と、再契約後の契約は全くの別物です。
なので当初20万円で賃貸していたお部屋を、再契約の条件として貸主から賃料30万円で提示することも可能です。
もちろんそんな大幅な値上げには賃借人が応じられないといった場合は、当然に賃貸借契約は終了させられる可能性もあります。
また、再契約時は定期借家の契約期間を1年とか短くすることも可能です。
そういう風に貸主の都合で賃借人が振り回されてしまうことがあるというのが敬遠される理由でもあります。
理由3.賃借人のデメリットを知った「ずるい大家」のイメージ
「この賃借人は子供の保育園問題とその後の通学もあるからとりあえず安めの賃料で入居させておけば、再契約の時は大きく賃料を吊り上げてもそう簡単に引っ越し出来ないだろう。」
「このお部屋は、2年後に親せきが住むのがほぼ確定してるけど、とりあえず再契約は相談出来るという定期借家契約にしておいて、期間満了で追い出してしまおう。」
「一定期間でごとに賃借人に出てもらって原状回復工事を行っておけば減価償却を待たずして費用を負担させられるから、コストも抑えて美観を保てるかも。」
・・・こんなことを考えている大家さんがいると想像したら非常に嫌ですよね。
もちろん、そんなことはなく、あくまで良質な住環境を賃借人の皆様に提供したいという大家さんの優しい気持ちで定期借家契約を導入している場合がほとんどかと思います。
・・・しかし、そんな大家さんの気持ちなんて募集時には分かりません。
仲介担当者も、「再契約は基本的にできるみたいですよ!」なんて口が裂けても言ってはいけないのが定期借家契約です。
賃借人にとってかなり不利になる定期借家契約だということを知っていながら、やはり定期借家契約じゃないと貸さないという貸主は「意地悪」「ずるい」という印象を与えることもあります。
これがやはりマイナスに作用してしまいます。
3.どうすれば定期借家契約が受け入れられるのか?
大家さんにとってはメリットしかない定期借家契約。
しかし、お部屋探しのお客様や仲介営業マンからはやはり人気はない。
それでもどうしても定期借家契約じゃないと都合が悪い。
ではどうすれば定期借家契約を受け入れてもらえるのかを考えてみましょう。
・賃料や礼金を減額する。
短期での契約終了の可能性があるなら、相場よりも安い賃料でなら受け入れてもらえることが多いです。
これは定期借家契約ならではのあるあるですね。
それと追加して「礼金の減額」も、将来の急な転居に備えて出費を抑えておきたいお客様には効果的です。
・契約期間を長めにとる。
当初の契約期間を2年ではなく3年、いや、5年といったように長く設定しておくことで安心してもらうことが出来る場合もあります。
その間、条件も変わらない(家賃が上がらない)、更新料にもあたる再契約料もかからない、貸主から退去してほしいと言われることもないのはメリットと感じてもらえる場合があります。
・一棟物件の管理を充実させ、他入居者の声を集める。
良質な住環境を維持するための定期借家契約だということを印象付けるためのブランディングを行うことでデメリットをメリットに変えることが出来ます。
良い賃借人に長く住んでもらい再契約が出来る物件なんだという認識を与えつつ、並行して共用部を含めた管理の質を高めていくことで、一般の賃貸借契約と同様の賃料相場を維持することも不可能ではありません。
定期借家契約に対する不安を払しょくし、それ以上の価値を見出してもらえるように取り組むことが、定期借家契約を受け入れてもらうのに必要なことですね。
4.不動産賃貸管理会社の一句
『部屋探し 多くが避ける 定期借家 不安を払拭 出来るでしょうか?』
「定期借家だから嫌」というお客様と営業マンはめちゃくちゃ多いです。
逆に考えもなく定期借家を進めてくる大家さんや管理会社もいます。
定期借家契約を推奨しているその物件において、借りる人に納得してもらえる管理が出来ているかが非常に重要です。
悪いイメージの定期借家契約だからこそ、より真摯に入居者様と向き合う必要があるんじゃないかと考えています。
定期借家契約を希望されるオーナー様に対しては、より質の高い賃貸管理のご提案をさせていただき、資産価値の向上をしっかりとサポートしていければと思います。
弊社では、宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスターや、住宅ローンアドバイザー、賃貸不動産経営管理士、ファイナンシャルプランナーなどの有資格者が賃貸・売買問わず、お部屋探し・賃貸管理のお手伝いをさせていただきます。
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【ルームキューブ代表 榎本敦史の賃貸管理】 家賃滞納の督促が不動産業界の入り口。その家賃の回収から入居審査、立ち退き交渉など、様々な入居者の方の人生模様に触れ、不動産管理会社のあるべき姿を模索し、ルームキューブを起業する。不動産投資のおまけのように扱われる不動産管理会社の仕事の大切さを知ってもらうために、収支改善、資産価値向上、コスト管理に空室対策といった分野で独自のアイデアを活かした賃貸管理サービスを提供している。 |
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