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想い

和を尊び、真に生きる。それが粋様。

ルームキューブ株式会社代表取締役の榎本 敦史と申します。

私は、大学を卒業してからとある夢の実現を目指して3年間のフリーター生活を送ったのち、自らの未熟さを痛感し挫折。
その後、都心ターミナルエリアにある不動産管理会社や、投資用マンションの販売を手掛けるディベロッパー会社、またそこの賃貸仲介事業部、時にはITコンサル会社などへの転職を繰り返し、起業前に計6社もの会社で勤めてまいりました。

そんな自分の人生で感じたこと。
それは、「企業は営利団体であり、自分たちを潤わせるために顧客を食い物にしているんじゃないか?」
ということでした。

社会人として働き始めたときは何の疑いもなく、結果だけを追い求め、熾烈な競争の中でも堂々と戦い、いい結果を残してきたつもりですし、今でも当時を知る方々からはそう思われているだろうと思います。

しかし、時が経ち、多くの部下を持つ立場に就かせていただくにつれ、その想いは変わっていきました。

「どうしてお客様より自分達や会社を優先しているのだろうか?」
「どうして会社は利益ばかりを追求するのだろうか?」
「どうして売上高にこだわるのだろうか?」
「どうして仲間達は苦しみながら働かないといけないのか?」

そういった様々な想いが重なっていた頃、当時の部下から言われた一言が私を起業の道へと導きました。

「榎本さんの会社だったら働けますが、このままならこの業界自体から足を洗おうと思います。」

私自身、競争社会は嫌いじゃありませんし、年もとりましたが、まだまだ前線で戦っていけると思っています。
しかし、それはあくまで自分だけのことであり、仲間や部下達にとってはそうではなかったのです。
何が悪いのか?弱音を吐く奴が悪いのか?弱音を吐かせている自分が悪いのか?
そんな自問自答を繰り返しましたが、見えた答えはただ一つでした。

「みんなに感謝される会社を創ろう。小さくともいい。歩みが遅くともいい。ただ、多くの人に支えてもらえるような会社を創ろう。」

そして平成20年11月11日に、不動産賃貸仲介業を手掛ける不動産会社としてルームキューブ株式会社は設立いたしました。

何もない一から起業。
実際、会社立ち上げはそう簡単にはいきませんでした。

私が前職で退職の意思表示をしたところ、引継ぎ等もあるという理由から平成20年一杯の勤務を求められました。
それが10月頭の出来事。
「飛ぶ鳥、跡を濁さず」のつもりで通常の業務に取り組んでいたところ、その10月末の会議で当時勤めていた会社の社長より突然、「今日までな。」と退職勧告を受けました。
起業の為の準備は何も進めておらず、生活の事も心配になりましたが、これから社長になろうとしている人間が不安を払拭するために今の立場にすがりつくことの方がマイナスだと感じ、その日付けで退職をしました。

そしてその11日後、11月11日大安に合わせ、何も深く考えずに僕はまず法人設立をしていました。

しかし、不動産会社として開業する方法をよく知らなかったため、そこからが苦労の始まりでした。
一応法人も設立していますし、代表取締役という肩書はありますが、「実質無職」という状況でしたのでお金は使うわけにもいかず、だからといって時間を無駄にするわけにもいかず・・・。

まずはお客様とスタッフを迎えるための「ハコ作り」を急いで進めなくてはならないと思い、一分一秒を無駄にせず、様々なことを寝る間を惜しんで取り組みました。

急いで事業資金の借り入れを起こすための事業計画書を作成し、親に連帯保証人になってくれるよう頭を下げ、何とか借り入れを受けることに成功しました。

その後、事務所を契約し、本社の移転登記、インフラ整備、店舗レイアウトの作成から設備什器の調達、やっと不動産業者免許の申請を行い、それから自社ホームページの構築、集客ツール・営業ツールの作成や準備、開店を見越したブログの更新、各種ポータルサイトとの提携、更には会社ロゴや名刺のデザイン、店頭看板の作成などをほとんど一人で行いながら、実際に不動産免許を受け取れたのは設立から約4ヶ月後。
食費は1日100円以内。両親には苦しい思いをしていると思われたくなく、「実家の米好きなんだよね。」と、突然変な電話を掛けてお米を送ってもらい、70円のレトルトカレーを一日一食だけ食べる4ヶ月間。
お腹が空いて眠れない時は水道水をたらふく飲んでお腹を膨らませて寝る毎日。
起きている時間はとにかく準備・準備・準備・・・。

その間の自分を支えてくれたこと。
苦しいことを察知してくれた元々のお客様、仲間達、家族、そしていずれ僕と一緒に働いてくれる仲間とお客様の生活と笑顔を想像すること。
それだけを糧に長くも短い4ヶ月間を過ごしました。

不動産免許取得の直前には一緒に働いてくれる仲間3人を迎え入れ、最後の開店準備は急ピッチで進みました。

ただ、免許が下りたからといって急に売上が出るわけでもなく、僕だけならいいのですが、メンバーにも苦しい思いをさせてしまいました。
売上が欲しくてどうしようもなく、時には「ゴリ押し営業」をしたくもなりましたが、この会社をやると決めた理由となるブレない強い気持ちだけずっと心にあり、正直な仕事だけをメンバー全員で徹底してきました。

仕事は全て「真摯」「真剣」「真面目」な仕事への姿勢から始まり、それが「感謝」となり、そして「結果」へとつながっていくことをサラリーマン時代を通じて実感していました。
そしてその「感謝」をしていただけたお客様から紹介して頂けて繋がる他のお客様との「出会い」。
そのいいサイクルが自身を成長させ、新たなステージを用意してくれ、それを支え認めてくれる会社。
歩合や賞与といった短期の報酬だけじゃなく、「自分の仕事への取り組みを評価してくれるお客様や仲間達、そして会社」との出会いなしには「努力が報われる」という言葉は意味をなさないと思います。

それを理解し協力してくれたメンバー達、共感して頂けたたくさんのお客様の支えのお陰で認知度も増していき、少しずつ、少しずつですがルームキューブ株式会社は前へ歩み続けています。

これから先の人生において、また成長する機会や出会いがあり、自分自身のこういう考えが深化することはあるかもしれませんが、立ち上げ時同様、変化することはありません。
私自身、「代表取締役」という肩書には一切のこだわりはありませんが、その肩書きを背負わせて頂いている限りは、ルームキューブ株式会社を選んでいただけるお客様や、共に働いてくれる仲間達に「感謝」してもらえる会社として、更に成長させ続けられるように、日々、自己研鑽を重ねていきたいと思っております。

働いてくれる仲間が胸を張って「ここで働いている。」と言ってもらえるような会社、支えていただけるお客様が何の気なしに「あそこにお世話になったよ。」と言ってもらえるような会社、そんな身近な存在の会社を目指してこれからも突き進んでまいりたいと思います。

代表取締役 榎本 敦史