紀州のドン・ファンの遺産約13億と相続の遺留分
2020.06.02
賃貸経営
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和歌山の資産家「紀州のドン・ファン」と呼ばれた野崎幸助さんの残した遺産が、約13億2千万円とのことです。
遺産は全額を田辺市に寄付するという「自筆証書遺言」が残されていたようですが、その全額が必ず田辺市に入るわけではなさそうです。
今回は遺言と相続、そして遺留分減殺請求について、弊社提携司法書士である「99司法書士事務所」の代表司法書士である尾形先生と一緒に簡単にまとめてみたいと思います。
【目次】
- 1.今回の相続の流れ
- 1-1.相続人の確定
- 1-2.自筆証書遺言の有効性
- 1-3.相続財産を確定
- 1-4.遺留分減殺請求
- 2.どうすれば遺言通り全額寄付できたのか?
- 3.賃貸管理会社の一句
1.今回の相続の流れ
誰かが亡くなってしまった場合、遺産の大小に関わらず相続手続が開始します。
順を追ってごく簡単に説明してみます。
1-1.相続人の確定
紀州のドン・ファンには若い奥様の他に4人の兄弟姉妹がいたそうです。
ご両親は既に他界しており、子供もいない為、相続の権利があるのは奥様と兄弟姉妹の全員で5人。
民法ではこの5人のことを『法定相続人』と呼びます。
法律で定められた相続人ということですね。
また、この5人には『法定相続分』と言う権利をそれぞれ持っています。
それについて更なる詳細を知りたいという方は、以下の記事を参照してみてください。
ともあれ、紀州のドン・ファンの相続人は配偶者1名、兄弟姉妹4名なので、各自の法定相続分は、配偶者が遺産全体の3/4、そして残りの1/4を兄弟姉妹の4人で等分する形になるのです。
1-2.自筆証書遺言の有効性
紀州のドン・ファンは冒頭でもご紹介しましたが、自筆の遺言書を残していたそうです。
尚、このような形式の遺言書を「自筆証書遺言」と言い、対して、公証役場で作成する遺言書を「公正証書遺言」と言います。
どちらが良い悪いではなく、求められる用途の違いとでもいいましょうか―
ちなみに、法律の専門家は公正証書遺言の作成を極力勧めているそうです。
その点からすると、今回の遺言書が公正証書遺言でないのが驚きですが、決してそれ自体に問題があるわけではありません。
法律で定められた様式(直筆、日付、名前、押印等々)を満たしており、かつ、家庭裁判所で遺言書の検認手続を終えている以上は有効な遺言書になり得るのです。
報道を見る限り、田辺市は遺言検認手続の段階での家庭裁判所からの通知で寄付の事実を把握したそうです。
そうすると、無事、遺言の検認手続を終えていることになりますので、紀州のドン・ファンの自筆証書遺言は、法律上でも有効な遺言であったのでしょう。
つまり、紀州のドン・ファンとしては奥様、他4人の兄弟姉妹へは1円たりとも相続させないという遺志を法律上有効に表示していたことになります。
1-3.相続財産を確定
当初は50億円はあるだろうと言われていた紀州のドン・ファンの財産ですが、実際には13億2千万ほどということです。
約37億円減ったとはいえ、これだけでもとんでもない金額ですよね。
現金なのか?不動産評価額相当分はどれくらいなのか?
不動産評価額で13億2千万円だったらそれはそれで結構すごいですが、まずは13億2千万円だったというところまで特定はされているようです。
尚、遺言書が存在する場合に、相続財産を確定する作業を行うのは「遺言執行者」という者になります。
今回の紀州のドン・ファンの遺言書に遺言執行者が定められていたかどうかは不明ですが、規模と内容からすると、仮に定められていなかったしても事後的に選任されているであろうことはほぼ間違いないと思います。
ちなみに言うと、田辺市は今回、単に財産全額の寄付を受けるのではなく、きっちり調査した上で、かつ、「限定承認」という手続を取っているようです。
この手続は、簡単に言うと、「プラスの財産以上の負債は受け取らない手続」ですので、紀州のドン・ファンには多額の財産の他に負債(借金等)があったのか?もしくは単にその可能性に備えただけなのか?その詳細までは分かりませんが、慎重でいて賢明な判断であったことは間違いありません。
たとえ、13億2千万もの寄付を受けれたとしても、それ以上の義務が付加されるのでは(今回が実際どうなのかは分かりませんが)、たまったものじゃありませんから・・・
1-4.遺留分減殺請求
上記のステップを経て具体的な相続手続に移るのですが、今回はもうワンステップ手間が生じる可能性が高いように思えます。
「遺留分」というものをご存じでしょうか?
それは、一部の法定相続人に認められた最低限の権利のことを指します。
考え方としては、法定相続分の更に半分については、たとえ遺言書等が残っていたとしても法律上、これを保障すると言うものなのです。
ちなみに、兄弟姉妹については遺留分は認められていません。
たとえ法定相続人であっても、兄弟姉妹の財産まで当てにするなという立法趣旨なのでしょう。
ともあれ、今回のケースで言うと、遺言内容が有効である以上、紀州のドン・ファンの兄弟姉妹はその権利を田辺市に主張することができないわけです。
では、奥様はどうでしょう??
兄弟姉妹とは異なり、配偶者には当然に遺留分が認めらています。
そして、今回、本来の法定相続分は3/4になりますので、その更に半分(1/2)の3/8がそれに該当します。
仮に負債等が何もないのであれば、その額なんと5億円弱・・・
紀州のドン・ファンの奥様が具体的にどうするのかまでは分かりませんが、一般的にはなかなかこれを「いりません」なんて言えるもんじゃないですよね。
少なくとも僕だったら遺留分減殺請求をしちゃうのではないでしょうか。
2.どうすれば遺言通り全額寄付できたのか?
なかなかに難しい問題です。
遺留分という権利は法律で当然に認められている権利なので、例えば遺言書の中で遺留分を主張するなと言ったところで、それは何の効力も持ちません。
ありていに言うと、ただそう遺言書に書いてあるだけの状態です。
もちろん、それによって遺留分がなくなることはないのです。
では、どうすれば紀州のドン・ファンは田辺市に全額寄付することができたのか?
正直、死後の対応では遺留分には勝てません。
そのため、生前に相応の対応を取る必要があったわけです。
例えば、
①相続発生1年前に贈与しておく
②遺留分を自発的に放棄してもらう
ただ、①も万全とは言えません。
1年以上前の贈与であっても、あげる側と受け取る側が、遺留分の権利を持つ方の遺留分を侵害することが分かっていながら贈与した場合には、これも遺留分の計算の際の相続財産に含まれることになるからです。
②はある意味確実です。
既述のとおり、一方的に遺留分を放棄させることはできませんが、自発的に放棄してもらう手続は存在します。遺留分の放棄手続ですね。尚、これには家庭裁判所の許可が必要です。なかなかどうして高いハードルになってしまうと・・・
以上のように遺留分は相続人に与えられたかなり強力な権利です。
結論からすると、単に全額寄付するのではなく、生前によく話し合って決めるか、そうでなければ遺留分を意識しつつ、例えば遺留分減殺の順序を定めておく等、相応の処置を講じる必要があると言えるでしょう。
自分の財産なのに大変ですよね。
3.賃貸管理会社の一句
『認めても 認めなくても わだかまり 故人の義務は 揉めない相続』
世の中何が起こるか分かりません。
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【ルームキューブ代表 榎本敦史の賃貸管理】 家賃滞納の督促が不動産業界の入り口。その家賃の回収から入居審査、立ち退き交渉など、様々な入居者の方の人生模様に触れ、不動産管理会社のあるべき姿を模索し、ルームキューブを起業する。不動産投資のおまけのように扱われる不動産管理会社の仕事の大切さを知ってもらうために、収支改善、資産価値向上、コスト管理に空室対策といった分野で独自のアイデアを活かした賃貸管理サービスを提供している。 |
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